グレン・グールドのショパン『ソナタ第3番』
私は、グレン・グールドの演奏するJ.S.バッハが好きです。
J.S.バッハを弾くにあたって、一番影響を受けました。
お蔭で、よくピアノの先生に叱られました。
ところで、グレン・グールドは、「ショパンが嫌い」だったそうです。
これは、「ショパンが誰よりも好き」な私には、かなり辛い事実でした。
「ショパンが嫌い」・・・あるいは、「ショパンなどくだらん」・・と言ってる人は、わが家にも居ました。
父です。
クラシックおたくの父は、「ショパンは女の聞くもの」という偏見を持っており、「男なら交響曲を聴くべし」と本気で信じているようなところがありました。
それでも、娘の私が、ピアノのおけいこで上達し、もっぱらショパンでコンクールに出ては入賞などもしていたので、一応それに付き合う「親心」から、よくショパンのレコードを買ってはくれましたが、あくまでも「娘のため」だったようです。
しかし私としては、大好きなショパンは、「まともに三拍子が取れないような父」に嫌われても、ビクともしませんが(笑)、グレン・グールドに嫌われるのは、悲しく寂しいことでした。
そして、そのグールドに影響されてか、よく分かりもしないくせに、「オレもショパンは嫌いだ〜 男ならブルックナーを聴けっ」などと言い出す輩に出会うたび、悶々とした日々を過ごしたわけですネ^^;
ところが、そんなグールドも、なんとショパンを一曲録音しています。
『ピアノソナタ第3番』です。
確かに、いわゆる「ショパン弾き」のピアニストとは、大きく様相の違った演奏だとは思います。
しっかり「グールドしてる」音楽で、いつもの彼の拘りが全面に出てきます。
でも、そこがまたよいのです。
清廉で、無邪気で、ベタツキ皆無のショパン!
ショパンは、毎朝、J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集を弾いてから、自らの作曲活動に入ったそうですが、ショパンもグールドも、共にJ.S.バッハを愛し、そこでこの二人はつながっているような気がします。
グレン・グールド演奏 ショパン作曲『ピアノソナタ第3番』第一楽章
グレン・グールド演奏 ショパン作曲『ピアノソナタ第3番』第四楽章
そして、彼が、J.S.バッハのパルティータ第2番を練習している光景がありました♪
ちなみに、若き日のマルタ・アルゲリッチの演奏はこれです。
マルタ・アルゲリッチ演奏 ショパン作曲『ピアノソナタ第3番』第四楽章
あぁ〜〜〜
やはり素晴らしい・・・・
そして、マルタ・アルゲリッチが弾く、J.S.バッハのパルティータ第2番も・・
マルタ・アルゲリッチ演奏 J.S.バッハ作曲『パルティータ第2番』より“Capriccio”
生きてます・・・・音楽が!
アルゲリッチは、どこまでいってもアルゲリッチだわぁーー
これだけ聴いて思うこと・・
それは、やはり、J.S.バッハという作曲家の底知れない凄さですね。
グレンが弾こうが、マルタが弾こうが、どちらもなんというカッコよさだろうか("▽"*)
そして、ショパンも、これでなかなか骨太で芯の強い作品だということが、よーく分かります。