『カポディモンテ美術館展』感想

上野の国立西洋美術館にて、先週末6月26日から9月26日までの予定で開催されている、 『ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで』に行きましたので、その感想を簡単に記します。


(私事ながら最近非常に仕事が忙しく、あまり時間が取れないので、本当に極々簡単な感想です^^;)


今回のこの展覧会で一番の“呼び物”は、パルミジャニーノの《貴婦人の肖像(アンテア)》であると思うのですが、確かに何度見ても美しい絵で、特にその衣装の細かなディテールには、溜め息が出ます。
他にも、ティツィアーノの《マグダラのマリア》や、グイド・レーニの《アタランテとヒッポメネス》など、80点の名品が来日しています。
イタリアのバロック美術が好きな方なら、かなり楽しめる展覧会だと思います。


私個人としては、二人の女流画家の作品に心惹かれました。


一つ目は、ソフォニスバ・アングイッソラの描いた《スピネッタに向かう自画像》です。

ソフォニスバは、この時代(16世紀末)としては非常に珍しく、女流画家として成功を収めた人で、しかも長寿なんですよね・・^^
肖像画の名手としてスペイン宮廷で活躍しましたが、自画像も多く残しており、今回ナポリから来日した自画像は、鍵盤楽器を演奏している点でとてもユニークな一品です。
彼女の自画像を観て受ける印象は、とにかく利発で自己をしっかりと持っている・・・というもので、これは若い頃から、晩年のものまで、終始一貫しています。
眼差しに力が漲っているというか、こういう表情の女性が、私は大好きです。


二つ目は、アルテミジア・ジェンティレスキの《ユディットとホルフェルネス》です。

この絵の解釈を述べると、とても長くなってしまうので、時間の無い今はスルーしますが、とにかく凄い力を感じる絵です。
同じテーマで、それこそカラヴァッジョや、ルーベンス、クリストファーノ・アッローリや、もう山ほどピンからキリまで様々な画家の絵を見てきましたけれど、このアルテミジアの作品ほど強烈なインパクトを受ける絵には、お目にかかったことがありません。
彼女は、男性中心にまわっていた社会の中で、非常に理不尽で不幸な体験をし、そこから立ち上がり、最終的には自己実現を遂げた、この時代としては稀有な女性です。
並大抵のパワーと意志の持ち主ではありません。
ユディットという女性を描くにしても、男性目線で描かれたユディットとは、根本的に違ったリアリティーがあります。
私にとっては、唯一納得のいくユディットが、このアルテミジアの作品です。





・・・・また時間ができたら、他の作品の感想も書くかもしれません^^;



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