『ラ・フォル・ジュルネ』最終日の感想/カティア・ブニアティシヴィリ

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010」の最終日♪
22時からはじまる最後のプログラムに、行ってきました。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン熱狂の日」音楽祭2010 ショパンの宇宙】
  5月4日(火)22:00〜22:45 ホールG402(369)
  ピアノ演奏 : カティア・ブニアティシヴィリ


  1.ショパン作曲  バラード第4番 ヘ短調 op.52
  2.ショパン作曲  ショパンスケルツォ第1番 ロ短調 op.20
  3.ショパン作曲  スケルツォ第2番 変ロ短調 op.31
  4.ショパン作曲  スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39
  5.リスト作曲   メフィスト・ワルツ第1番
  アンコールとして   ショパン前奏曲第4番
  



   カティア・ブニアティシヴィリ Khatia Buniatishvili のプロフィール

   1987年6月21日、グルジアの首都トビリシ生まれ。5歳からピアノを始め、6歳でオーケストラと共演。海外公演は10歳から。トビリシ音楽院を卒業し、2006年からはヴィーンの音楽演劇大学に留学してオレグ・マイセンベルクに師事。2008年には、ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで第3位に輝くと同時に、「ショパン作品の最優秀演奏者賞」と「観客賞」も獲得。マルタ・アルゲリッチが主催しているルガーノのプロジェクトにも参加し、今年も6月20日のコンサートに登場する予定。今年は内田光子評議員を務めているボルレッティ=ブイトーニ財団賞を受賞。


参考動画 http://vimeo.com/6048603 ポーランドの南部ドウシニキで2009年8月に開催された「第64回ショパン国際ピアノフェスティバル」での演奏 スケルツォ第1番途中まで


彼女がヴィーンの音楽大学で師事していたオレグ・マイセンベルクといえば、一昨日ボリス・ベレゾフスキーと見事な連弾を聴かせてくれたブリジット・エンゲラーと共演し、「ラフマニノフの二台ピアノのための作品集」のCDをリリースされてます。 人って、面白いところでつながるものですね^^
彼女を認めてここ数年コンサートに招聘しているマルタ・アルゲリッチは、わが青春の女神様ですし。




・・・・と、前置きはそれくらいで、彼女の演奏の感想を!



まず、美人!!!

この写真通り、いや、それ以上の美しさです。


そして、さらに素晴らしいもの・・・・・それが、演奏でした。


ピアノのコンサートに行って、ここまで演奏者の奏でる音楽に引きこまれ、我を忘れるのは、何年ぶりでしょうか。
それほど見事な、鳥肌の立つような演奏でした。
まずテクニックが凄い!
非常に確実で、しかもダイナミックに幅広い音が自由自在に出せる、そんなピアニストは、居そうで居ないものですが、彼女は数少ない一人です。
そして、感性の豊かさは、天与のものでしょうね。
あの若さで、よくここまでそれぞれの曲を奥行きを持たせて構成できるものだと感心します。
生まれ持ったセンスは勿論、知性や教養にも恵まれているに違いないと思いました。
それと同時に、若い頃のアルゲリッチを思わせるような爆発もあり、ぐいぐいと聴き手を巻き込んでいきます。


バラード第4番の、よく練られた演奏のあと、スケルツォ第1番のクリスマス・キャロルの部分が始まったところで、私にはショパンの子供時代を、垣間見せられたような気になりました。
とても温かい家族との幸せな団欒や、祖国の祭りを笑顔で囲む様子が、3度繰り返されるフレーズのたびに走馬灯のように儚く浮かび、なぜか私自身の子供時代までがさまざまに蘇ってきて、いつしか目頭が熱くなっていました。
彼女の歌う力は、ただものではありません。
そして、それを再び引き裂く衝撃と疾風怒濤の音の連なりは、驚くばかりに正確ですが、そうした冷静な技術力が顕示されるのではなく、作曲家ショパンの言葉にならない想いが全面に溢れ出て、胸をつかれました。


第2、第3のスケルツォも、それは充実した演奏でしたが、最後のメフィスト・ワルツときたら!!!
ここまで破綻なく、しかも興奮するメフィスト・ワルツを、若手ピアニストの演奏で聴くのは、もしかすると初めてかもしれません。
呆気にとられるというか、聴きながらポーッとしてくるというか、これは本当に凄かったですねー。


カティア・ブニアティシヴィリ・・・・
彼女の演奏を、こんな狭い部屋で、少人数の聴衆の一人として聴けることは、この先そうは無いかもしれません。
彼女は、今後もっと大化けしそうな気がします。
今、この機会に聴けてよかったと、しみじみ思います。
これからの活躍に目の離せない、大注目のアーティストです。




ルガーノ・フェスティヴァル・ライヴ2009

ルガーノ・フェスティヴァル・ライヴ2009