ニーノ・ロータ礼賛

昨日バンクーバー五輪で、男子フィギュア・シングル初のメダルを日本にもたらした高橋大輔が、そのフリー演技で使用した音楽、映画『道』のテーマ曲は、作曲家ニーノ・ロータの初期の傑作です。
その後も彼は、フェデリコ・フェリーニ監督の作品に、生涯にわたって曲を提供し続けましたが、自分自身のことを、けっして「映画音楽の作曲家」とは思っていなかったそうです。
彼は、自分はあくまでもクラシカルな作品を作る作曲家である・・・と位置づけていたようで、確かにそれだけの能力・経歴をお持ちでした。
YouTubeを検索すると、何曲か「映画音楽ではない、ニーノ・ロータのクラシカルな作品」が出てきます。

↑これはハープの独奏曲で、まるでルネサンス期の音楽のような佇まいですが、ところどころに近代的な響きもあって、とても美しい音楽です。


そういえば彼は、ルキーノ・ヴィスコンティ監督映画『山猫(Il gattopardo)』では、舞踏会のシーンで、あのイタリアが誇る大作曲家ヴェルディの未公開遺作品をアレンジした上に、自分自身のオリジナル作品も提供していますが、これらは聴けば聴くほど、ヴェルディニーノ・ロータが一体化していて、二人の作曲家の精神的なつながりの深さに想いを馳せてしまいます。


・・・そんなわけで、格調高い純音楽こそを「本業」と捉え、映画音楽は「趣味でやっている」と言っていたニーノ・ロータですが、それにしては銀幕の名曲が多すぎますよね〜〜


私は個人的に、とびきりハンサムなアラン・ドロンが主演したフランス映画(ルネ・クレマン監督)『太陽がいっぱい』のテーマ曲が大好きなんですが、なんと作曲したニーノ自身は「駄作」だと思っていたそうで、これは本当に意外!
何が気に入らなかったのやら・・・
ステキな曲ではありませんか〜〜〜〜
しかも若き日のアラン・ドロンのなんという美男子ぶり!
彼の美男ぶりは、ヴィスコンティの『山猫』でも堪能できますけど、やっぱりイケメン最高値は『太陽がいっぱい』・・じゃないですかね〜〜?


話はちょっと横に逸れますけれど、こういうふうに、作曲家本人は気に入っていないのに。世間では愛されている曲って、たまにありますよね^^;
今ぱっと思いつくのは、ショパンの『幻想即興曲』ですが、これもショパン自身は「駄作である」として発表すらせずにいた曲で、彼が亡くなってから遺稿として出版されたわけですけど・・・
(私個人としては、『太陽がいっぱい』は好きですが、『幻想即興曲』はショパンが気に入らなかったのも分かるような気はします。ひとつ言えることは、生意気なようですが、『幻想即興曲』って練習してると飽きます^^; わぁーーーーゴメンナサイっ!!!)



話を戻し・・・


ニーノ・ロータの映画音楽、晩年の最高傑作って、フランシス・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』でしょうか。

この映画は夫が好きで、ちょっと前にDVDを借りて真剣に見直してましたけど・・・
いやぁーーーー怖いんですよね・・・ マフィアの殺し合いが・・・
次々と人が撃たれ、吹っ飛ばされ、全編血みどろなんだもん・・・(-"-)
こういう映画は、私はとても苦手なんですけども・・・


でも、そこにニーノ・ロータの音楽が加わることで、流血の惨事も人間のドラマとなり、生と死の喜びと悲しみに胸が熱くなるんですよね・・
凄まじい音楽の力です!
『ゴッド・ファーザー』は、彼の音楽なくして、ここまでの名作にはなりえなかったと思います。





なんと!!ミラノスカラ座管弦楽団ムーティが指揮!!
FELLINI MASTERPIECES: LA STRADA / LE NOTTI DI CABIRIAヨーロッパ映画音楽百科(ニーノ・ロータ編)ニーノ・ロータ映画音楽集Film Music Masterworks - O.S.T.ニーノ・ロータ:映画音楽作品集

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