クラシック音楽と昆虫

美術における「虫」を考えたら、どうしても音楽の中の「虫」についても思いを巡らしたくなりました。


私が今思いつく限りの「虫が主役」の作品を挙げていきましょう♪


まず一番に浮かぶのは、あの超有名曲、ヴィヴァルディの『四季』です。
その中の「夏」第二楽章は、そのまんま「ハエ」だったはず^^;
    はい(笑)
↑この「ハエ」です。
独奏ヴァイオリンの奏でる旋律が、暑い夏に纏わりつくハエを表している・・・と、この『四季』のオオモトとなったソネットにも示されております。

Toglie alle membra lasse il Suo riposo  激しい稲妻と雷鳴
Il timore de' Lampi, e tuoni fieri      そして狂暴なハエの群れに
E de mosche e moscon lo Stuol furioso.  羊飼いの疲れた身体は休まることがない

しかし、ヴァイオリンがあまりにも美しいので、知らずに聴けば、おそらく誰もそれを「ハエ」とは思いますまい!
ヴィヴァルディ:協奏曲集 四季  / 調和の幻想 第6・8・10番


次に浮かぶ曲は、リムスキー・コルサコフの『熊蜂の飛行』ですね!
これはピアノやヴァイオリンをはじめ、様々な楽器に編曲され、そのほとんどは「名人芸」「曲芸」「びっくりサーカス」を聴衆に見せつけるのが主な目的・・でしょう。たぶん。
さっきYou Tubeで検索したところ、ローティーンの日本人の男の子が凄い演奏をしているので、文末にリンクを貼っておきます。

ピアノ曲で思い出すのは、私も昔々弾いたことがあるシューマンの『蝶々』。
晩年ほどの“病気”っぽさはありませんが、私はどうもシューマンがあまり好きではありません。
よってこの曲にも最後まで気分が乗らなかった記憶があります。
シューマンって人は文学青年・・・・いや、はっきり言って文学オタクだったわけで、この『蝶々』という曲も、ジャン・パウルの影響を受けて作った曲です。
ジャン・パウルって方は、確か自作『巨人』がマーラーにも強いインスピレーションを与えて交響曲を作曲させてしまったわけで、しみじみ「病気」な人に好かれるのだな・・・と思ったり思わなかったり・・
ちなみに私は、彼の『巨人』を読むことは途中リタイアしたクチです。
気の短い私には無理・・(笑)
リヒテル・イン・イタリー~シューマン:蝶々、ピアノ・ソナタ第2番、他
あっ、そうそう、『蝶々』と呼ばれるピアノ曲では、これを忘れてはいけません^^;
ショパンの「12の練習曲作品25」の9番目の曲『蝶々』です。
これは私には難しい曲で、はじめて取り組んだ時も苦労しましたが、技術が更に劣化した今の自分には、非常に辛い曲です。
ちょっと聞きには「易しそう」ですし、実際「簡単な曲だ」と言う人もいらっしゃいます。
楽譜を見た感じも「いけそうな気がする〜♪」なのですが、弾いてみるとこれがこれが・・で、私とは相性が悪いようです(-"-)
ショパン:12の練習曲 作品10/作品25


他にも「蝶々」という題材では、沢山の曲が浮かびます。
なかでもプッチーニのオペラ『蝶々夫人』は外せませんよね♪
プッチーニという作曲家は、時流に乗っかることが天才的に上手な人だったのでしょうねー
世の中が「東洋趣味」に浮かれ出したら、もう早速日本を題材にしたオペラを作るんですから!
しかもヒロインの名前は「蝶々」です
これほど東洋的で魅惑のネーミングがあったでしょうか!
プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」
どうも私はこのオペラと縁があるらしく、海外でオペラを観ようと思い立つと、なぜかその晩に『蝶々夫人』がかかっている・・ということが何度かありました。
お蔭で何度も、「日本人からは考えられない爆笑ヘンテコ演出」・・・の舞台を観た経験があります。
演奏そのものは素晴らしいのだけれど、その所作や衣装etc.では、とてもじゃないけど最後泣けないよ〜〜という、いやホント、爆笑ステージです。
プリマドンナの着物がだんだん肌蹴てきて柔道着みたいになってる・・・なんて、ザラもザラ!
・・ですので、この『蝶々夫人』に限っては、日本人が演じる日本の舞台を鑑賞するのが大正解かと思います。

「蝶々」で、もう一つ思い浮かぶ好きな曲があります。
フォーレが作曲した歌曲で『花と蝶』という曲です。
昔行った声楽リサイタルで聴き、とても好きになったのでCDを買い求め、こうしてブログを書いたり、掲示板を覗いたりするときにもよく聴いているのです。
私にとってのフォーレは、学生時代に『ラシーヌ讃歌』や『レクイエム』を歌ったり伴奏したりがキッカケで、大好きになった作曲家なのですが、歌曲がまた良いのです
『花と蝶』は若々しい曲ですが、『夢のあとに』や『河のほとりで』『リディア』など、心がほーっと癒されます。
COMPLETE SONGS/LIEDER
そうだ、癒される・・といえば、あの曲!
シュトラウス一家の次男、ヨーゼフ・シュトラウスが作曲した、ポルカマズルカの『とんぼ』です。
お正月のウィーンフィルの演奏会でもちょくちょく演奏されますが、この曲、だあぁぁぁぁぃ好き!
特に↓このクライバーが指揮した演奏が最高です!
美しく青きドナウ?ウィンナ・ワルツ集


ざっと今思いつくのはこんなところですが、もっともっとあるかもしれません。
「虫が主役のクラシック音楽


参考動画^^


まだ中学生? 凄い技術力です。



2008年のウィーンフィル新年の演奏。



フォーレの『花と蝶』 エリー・アメリンクの歌唱が素晴らしい!






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