『オルセー美術館展』に息子も行く

私は一度、息子をパリのオルセー美術館に連れて行ったことがあります。
彼が小学校6年生の夏休み中のことです。
それ以前にも以降にも、欧州に用事がある場合に、息子が休暇中であれば、せっかくなので一緒に連れて行ったことはありますし、その場合は必ず主だった美術館を訪れているのですが、彼の記憶の中では、この時のオルセー美術館での衝撃が、他のどんな美術館の作品よりも、ずば抜けて大きいものだったようです。
中でも、“ある作品”が、彼の脳裏に焼きついてしまい、ことあるごとに「あれは凄い。凄いとしか言えない絵だよね」・・・とか、「でもさー、あそこまで堂々と描かれると、かえって風情はないよなー」・・・とか、「なんかさー、ああなるともう“御神体”って感じだよね」「ヤケクソも一周すると神々しくなるもんだよなー」・・・などなどと、折に触れて言ってます。
とにかく、「オルセー美術館」と耳にすれば、彼の中では、ほぼ自動的に、“あの作品”が浮かんでくるそうなんですよね。
小6で見て以来、もう6年は経っているわけですが。


・・・で、彼としては、ちょっとした“期待”をしてたようです。
今回の「オルセー美術館展」で、来るのではないか・・と。


でも、“あの作品”は、実はオルセー美術館の展示作品の中でも、トップクラスの人気作品なので、そうは外国に出さないと思うんですよね〜〜
しかも、もし来日するのであれば、絶対に大々的な宣伝が打たれているのではないか・・と思う・・・と、言ったところ、すかさず、「いや、あれを宣伝するのには無理があるでしょう! 絶対に不可能だと思うよ。おかあさん! 駅の構内に、あの絵を印刷したポスターが貼ってあるのを想像してみろって!!」・・と反論され、それもそうだ・・と納得。


・・・なので、もしかしたら、宣伝はせずにやって来るのかもしれない・・・という、淡い期待も無かったわけでは無いのですが〜〜


でも、案の定、来日しませんでした。
そりゃそうでしょう!
何度も書きますが、あれはオルセーの“目玉商品”であり、それこそ“門外不出の至宝”なんです(笑)




その作品とは、ギュスターヴ・クールベ『世界の起源(L’Origine du monde)』です。


私も、初めてこの作品を観たときは、仰け反りそうになりました^^
驚きと羞恥のあまり、その場に居た堪れない気持ちになったものです。
それまでに見てきた、どんな裸婦像と比べても、この作品から受ける衝撃ときたら、桁外れなのでした。


ですから、まだ可愛い小学生だった息子には、それはそれは刺激が強くて、びっくり仰天だったことでしょう!
思い出すと、息子がこの絵の下に立ったとき、近くには学校の野外活動か何かで連れてこられた、同じような年恰好のフランス人の少年少女たちがいて、彼らもまた、ザワザワ互いを小突き合いながら見てました。
懐かしいなぁーーー
あの子供たちも、今では随分大きくなったことでしょうが、きっと強烈な記憶として残っているのでしょうね〜



そんなわけで、六本木の「オルセー美術館展」から帰ってきた息子の第一声は、「やっぱり来てなかったなぁ〜」・・・でした("▽"*)


「そんなに見たいなら、現地に行って見れば!」と返したところ、「大学生になったら、リュック背負って行ってくるわ」・・とのこと。


『世界の起源』観たさに、必死でバイトするそうです^^



クールベ NBS-Jギュスターヴ・クールベ―ある画家の生涯