ラ・フォル・ジュルネ2010『前夜祭』

今夜、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2010の『前夜祭』に、行ってきました♪
会場は、東京国際フォーラムの一番広いホールAでした。


まずは19時から、4月10日に政府専用機の着陸直前の墜落でお亡くなりになったポーランド大統領ご夫妻はじめ、同乗されていた方々への、追悼セレモニーがありました。
あの広いホールAを埋めた4500人近くの人々が黙祷をささげた後、ポーランドのオーケストラ「シンフォニア・ヴァルソヴィア」の弦楽奏者たちによる、ショパンの『葬送行進曲』が奏でられ、次に、小山実稚恵さんによるピアノ独奏、ショパン作曲『夜想曲嬰ハ短調遺作』が、会場の隅々まで静かにしみわたりました。
どちらの演奏も、心にジンと響き、魂が震えました。
特に小山実稚恵さんのピアノの音色の、なんと美しかったことか!!!
まるで涙の一粒一粒のようにひっそりと輝く、繊細で、しかも遠くの世界にどこまでもつながっていきそうな強さもある音でした。
素晴らしいピアニストだと、あらためて思いました。
セレモニーの最後には、在日ポーランド大使が壇上に登場し挨拶をされましたが、その流暢な日本語にはビックリしました。
しかも大使は「女性」なのです^^
とはいえ、最近は女性の大使は何人もいらっしゃいますが、あの日本語のお上手さはタダモノではありません。
お蔭で、ポーランドという国が、ぐんと近くに感じられました。



いよいよ次の「お祭り」部分になると、司会の石丸幹二さんがステージに♪
主催者のルネ・マルタンさんも加わり、今回のラ・フォル・ジュルネについてのトークが始まります。


なんでもショパンの作品は、全部演奏しても22時間くらいにしか満たないそうで、ショパンだけの作品では、延べにして300時間以上の音楽祭を埋めることができない・・・と。
それならば、「ショパンがプロデューサーなら、どのような音楽祭にするか?」・・というコンセプトで組み立てていこうと思いつかれたそうです。
ショパンが、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」をことのほか愛好し、毎朝起きると、いの一番に平均律を弾いていた・・・というエピソードに基づき、今回の音楽祭も、毎日朝一番のプログラムは「J.S.バッハ平均律演奏から始めてます」・・・という話や、「ショパンベルカント・オペラが大好きだったので、ロッシーニドニゼッティ、べッリーニの声楽作品も取り上げている」・・という話などなど、いろいろ興味深いトークが沢山ありました。


今日「前夜祭」で演奏された曲目も、実に多岐に渡っていて、ポーランド民族音楽&舞踊あり、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲あり、オーケストラを伴うピアノの演奏会用ロンドあり、どれもこれも大変素晴らしい、気迫のこもったものでした。


ショパンは、民衆の歌う素朴な田舎歌や舞踊歌を、それは大切にした作曲家で、作品の多くにポーランド民謡が顔を出しますが、今日は、そのオリジナルを、はじめてじっくり聴くことができました。
いくつも、「あ、これショパンマズルカ!」と分かる曲がありましたが、そういう「原典」を知る喜びにプラス、原典そのものが、とても魅力的な音楽なのです。
ヴィオラ・ダ・ガンバにそっくりの弦楽器や、笛や太鼓、バグパイプ、そしてバロック・ヴァイオリンの織り成す音楽の、なんと新鮮で洒落ていること!
この奏者の何人かは歌も歌うのですが、東欧でよく聞く独特の発声で、これがまたイイ感じなのですね〜〜
ダンスも衣装が華やかで、動きにキレがあり、ステキでした!


メンデルスゾーンの八重奏は、言わずと知れた名曲ですが、東京都交響楽団のメンバーで構成された8人の息がピタリと合い、まるで生き物のように自在に“呼吸”する演奏でした。
いいものを聴きました^^
一つだけ残念だったのは、第一楽章と第四楽章だけの演奏で、第ニ、三楽章が聴けなかったことくらいでしょうか?


最後の、ショパン『演奏会用ロンド−−クラコヴィアク』は、若干20歳のソリスト、マルチン・コジャクくんの独奏が、目が覚めるように素晴らしかったです!
オーケストラとのバランスも絶妙で、今さらですが、「この曲って名曲だったのね・・」などと実感することができました。



はじめに追悼式があったので、演奏時間は当初の予定よりも1時間伸びましたが、聴き手としては、今夜の「前夜祭」は最高に充実して中身が濃く、心から満足できる内容でした。


本格的なスタートは2日から♪
ますます期待がふくらみます^^