『ボストン美術館展』感想その2/フランシスコ・デ・スルバラン

昨日簡単に、アンソニー・ファン・ダイクの『チャールズ1世の娘、メアリー王女』の絵についての感想だけを書きましたが、よく考えたら、まだまだ他にも印象深い作品がありました。


フランシスコ・デ・スルバランの、聖人像2作品が、それです。

左側が『聖ペトルス・トマス』で、右側が『コンスタンティノープルの聖キュリロス』というタイトルです。
スルバランらしい、静謐な画面で、思わず足を止め、じっと見入ってしまうような絵でした。
更に私を考えこませたのは、「聖キュリロス」は分かるのですが、「聖ペトルス・トマス」が誰なのか分からないことでした。


キュリロスは、ロシア語で使われているキリル文字の土台を考案した人として知られています。
中世東ローマ帝国の凄い学者です。
このキュリロスと対になって絵になるのなら、お兄さんのメトディオスかと思いきや、「ペトルス・トマス」って・・・誰?・・と。
同じような衣服を着ていても、キュリロスの方は、若くてイケメンですが、ペトルス・トマスさんの方は、なんだかくたびれた感じのオジサンです。
トマス・・・といえば、十二使徒のトマスか、スコラ哲学のトマス・アクィナス・・・が浮かびますが、そのどちらでもなく、「ペトルス」をいろんな言語に読み替えてみても、どうも思い当たりません。
「この人、誰?」という疑問が、ずーっと解けないまま帰宅し、いろいろ調べた結果、どうやら14世紀半ばにコンスタンティノープルの総大司教だった方なのではないか・・・と。
(不勉強なので違うかもしれません^^;)
コンスタンティノープルつながりで描かれた二人なのでしょうか?




なにはともあれ、スルバランの絵は、いいですね^^
よく、「スペインのカラヴァッジョ」などと彼を評する方もいらっしゃいますが、確かに似たところもあるけれど、この静謐さは、彼独自の世界だと思います。


昔、プラド美術館で見た、静物画の素晴らしさも、忘れることができません。



『茶碗・アンフォラ・壺』フランシスコ・デ・スルバラン作(プラド美術館蔵)



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