暴君ネロの遺跡崩壊/モンテヴェルディ『ポッペーアの戴冠』

昨日30日、暴君として知られるローマ皇帝ネロが建てたドムス・アウレア Domus Aurea(黄金宮殿という意味)の遺跡で、その一部の天井が崩壊したそうです。
まずはそのニュースを引用しましょう。

暴君ネロ皇帝の遺跡の一部が崩壊=ローマ

【ローマ30日AFP時事】ローマの観光名所の一つとなっている、暴君で知られる皇帝ネロの黄金宮殿(ドムス・アウレア)の地下遺構の一部のトラヤヌス・ギャラリーが30日、崩壊した。けが人は出なかったが、当局は遺跡の保存に懸念を抱いている。

 黄金宮殿遺跡はローマ市内のコロッセオとフォロローマの間にある。遺跡管理当局によると、同遺跡にあるトラヤヌス・ギャラリーのほぼ半分に当たる約60平方メートルが崩壊した。同遺跡では過去にも崩壊などが起きているが、当局は今回は最も深刻な事態であり、遺跡の保存や安全性に大きな懸念が生じているとしている。
 崩壊の原因は水の侵食とみられる。さらに崩壊が起きる可能性もあるが、トラヤヌス・ギャラリーは黄金宮殿とは独立しており、宮殿自体に崩壊の危険性はないという。
 多くが地下に埋もれている同宮殿は1999年に一部が公開され、1日平均約1000人の観光客が訪れる。2005年に、洪水によって地下の遺構が崩れる恐れが出たために閉鎖されたが、1年後に再開された。

 ネロ皇帝は西暦64年にローマの大半が火災で焼けた後、敷地が80ヘクタールにも及ぶといわれる黄金宮殿を建設して市民のひんしゅくを買った。後代の皇帝はその一部を埋め立てたりした。

3月31日11時36分配信 時事通信http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100331-00000052-jij-ent


皇帝ネロ(西暦37〜68)は、大変評判の悪いローマ皇帝の一人ですが、その生い立ち、特に母親との関係を見ると、いろいろ考えさせられます。


それはそうなのですが、私が今、「皇帝ネロ」と耳にして、まっさきに思い起こすものは、モンテヴェルディが作曲したオペラ『ポッペーアの戴冠』なのです。そして、このオペラの中で、皇帝ネロ役を見事に歌う、カウンターテナー歌手のフィリップ・ジャルスキーのことを思いました。
フィリップ・ジャルスキーは、今年秋に来日する予定でしたが、どうも日本側プロモーターに不手際があったようで、つい先日「延期」になってしまったのでした。来年には日本で彼の歌を聴くことができるのでしょうか?


・・・で、YouTubeを検索したところ、ありました!
フィリップ・ジャルスキーがネロのパートを歌い、ヌリア・リアルがポッペーア(ポッパエア・サビナ)を歌う、「Pur ti miro」の二重唱が!
バロック・アンサンブルのラルペッジャータL'arpeggiataが、ドイツの音楽賞を受賞した時のガラ・コンサートの様子ですね。いや〜〜本当に素敵です。モンテヴェルディの曲も素晴らしいのですが、ここまで美しく演奏されると、心がとろけ出しそうです。
YouTubeには、さらに二人の歌に楽譜を画像で付けたものもアップされていたので、それも貼っておきます^^


モンテヴェルディ『ポッペーアの戴冠』Pur ti miro


それにしても、ネロとポッパエアの結婚って、爛れきったドロドロ極まる男女関係の成れの果て・・・なのですが、このモンテヴェルディという天才作曲家のマジックで、なんとも香ばしく艶のある美しくも楽しいオペラに仕上がってまして、個人的に私は、数あるオペラの中でも五本指に入るくらい好きな作品です。
最近は上演されることも多く、再びブームがやってきているのかもしれません^^


まぁ、それとネロの遺跡の天井が崩壊したこととは、何の関係も無いわけですが・・・・("▽"*)




Teatro D'Amore