小野竹喬展

東京国立近代美術館の企画展ギャラリーで、3月2日(火)から4月11日(日)まで開催されている『小野竹喬展』ですが、今日から作品の入れ替え後期の展示になりました。


小野竹喬(おのちっきょう1889-1979)は、20世紀の日本を代表する日本画家です。
温厚・誠実な人柄から生み出される、わが国の美しい自然を描いた作品は、生誕120年を過ぎた今も、多くの愛好家を魅了しています。


そこで、先日『小野竹喬展』を観覧した際の感想を書きます。


ひとことで言って、とても清涼で澄んだ美しさにあふれる展覧会です。
奇を衒ったところはどこにもなく、ギラギラした野心など微塵もなく、素直にそこに在る自然を見つめて描いた絵の数々が並んでいます。
特筆すべきは、その色彩の夢見るような心地良さです。水の流れや輝きを表すために、薄紅色や茜色を好んで使った竹喬ですが、その赤い色が、むしろ水の静謐さを際立たせていることに、驚かされます。

 

とても素朴な印象を受けますが、垢抜けた上品さがあり、しかし、どこにもスノビッシュな気負いはありません。
まさに画家が、すーっと、まっすぐそこに居る感じです。


私が最も心惹かれた作品は、『宿雪』です。

雪解けの匂いが、こちらまで爽やかに漂ってくるような画面です。
壮年期の傑作『冬日帖』も、描いている季節は冬ですが、なぜか暖かい空気を感じるのは、作者竹喬の人柄が伝わるからでしょうか。

最晩年の作品、『奥の細道句抄絵』の10点にもなると、その簡潔な画面に、身近な自然への描き手自身の感謝と感動が朗らかに満ちています。


1921年から1年間、ヨーロッパを旅したときのスケッチも多数展示されていますが、これも素敵でした。
私は個人的に、イタリア各地の風景に、胸熱くなるものがありました。なぜなら、私の記憶にあるものと、90年昔に竹喬が見た景色に、ほとんど違いがなかったからです。「そうか・・・彼もここから、あの教会を見たのか・・」と、ぐっと距離が縮まった気持ちになりました。
また彼が、ヨーロッパを回ってもっとも心惹かれた絵画技法がフレスコ画であったことにも、強く頷くものがあります。これはあくまでも私の感じ方ですが、小野竹喬の絵から受ける印象は、ルネサンスフレスコ画から受ける印象にとても近いものがあるからです。特にフラ・アンジェリコの作品と相通じるものを感じます。どちらも大変清らかで、かつ深い・・・という。


展示の最後には、竹喬が書いた松尾芭蕉の句の短冊がありましたが、その丁寧で几帳面な上に、ふっくらのびやかな字にも、しばし見惚れました。
こういう字を書く人は大好きです。直接お会いしたことはなくとも、小野竹喬がどんな人間性の方だったのか、この字を見ただけで分かります。もちろん絵を鑑賞してきて、もう充分に感銘を受けているわけですが、字を拝見して更に感じ入ったのでした^^





東京国立近代美術館二階にあるこのレストランは、開店当初はなかなか良かったのです。しかし最近は申し訳ないけれど劣化著しいと思います。まずサービスが悪い。味も低下の一途です。休日は多くの人が並んでいますが、その価値はないと思います。オープンして1年くらいは本当に良いレストランでした。料理も美味しく、雰囲気も良く、美術館に用事が無くてもわざわざ足を運ぶほどでした。が・・・・今はダメです。改善されることを期待していますが、どうでしょうか・・

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