博物館でお花見を

明日3月24日(水)から4月11日(日)まで、東京国立博物館では、『博物館でお花見を』と題したイベントが催されます。
既に3月13日(土)から行なわれている恒例の「春の庭園開放」に加え、博物館本館の日本ギャラリーでは「桜」にまつわる様々な名品が展示されます。



国宝室では、かの天才絵師・狩野永徳(1543 - 1590)の弟である、狩野長信(1577 - 1654)の筆による「花下遊楽図屏風」が展示されます。
右隻の中央部分は、関東大震災で焼失してしまったので、画像のモノクロ部分はその再現です。実際の展示では空白です。


長信は、兄の永徳とは34も歳が離れていますので、母親は違う人なのでしょうね。永徳が過労で亡くなったのが、長信が14歳の時。いったいどのような兄弟関係であったのか、そして、兄の死を長信はどのように捉えていたのか、いつも勝手な想像(むしろ妄想?)で盛り上がる私は、気になって仕方がありません^^; 偉大な兄を、おそらくはとても尊敬していたのでは?・・と想像したいところですが、私自身の卑近な例を見渡しても、兄弟で家業を支えている場合、その間柄はなかなか複雑なものです…。うぅ〜〜ん、なんだか気になる。
永徳の孫の世代になり、狩野探幽の末の弟・狩野安信を、才能ある兄たちを差し置いて、宗家を継ぐように仕向けたのは、当時すでに狩野派一門の長老であった長信であると伝えられていますが、ここで天才肌の兄・探幽を推さずに、最も凡庸であった安信を次期宗家に決めた、その心の内はどのようなものだったのでしょうか? 画才は平凡でも、人柄の穏やかな安信こそ、一族を束ねるのにふさわしいという判断だったのでしょうか。


「花下遊楽図屏風」を観る機会に恵まれる度に、様々な想いが胸をよぎります。
まずその絵の見事さに感動します。非常に美しい絵です。ところが焼失した空白部分からは、取り返しのつかない辛い悲しみが染み出てきます。ここに、私自身の家が抱えてきた、震災や太平洋戦争での空襲や敗北による苦汁、それを生涯引きずっていた祖父母のこと・・などなどが陽炎のようにもやもやと湧き上がってきます。
それと同時に、長信という絵師が、狩野家という特殊な家でどのように生き、この素晴らしい絵を描くに至ったのか・・・に、強く興味をひかれるのです。




そうそう!
魅力的な催しとして、「切手の販売」があります^^ 正門を入った所で、東博が所蔵している作品や、桜をモチーフにデザインした切手が販売されます。
庭園内には、もうカフェも開設されてますし、お天気のよい日を選んでお出かけになると、素敵な一日になるのではないでしょうか♪



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