『長谷川等伯展』感想

ここ数年、トシをとったからなのかどうか知りませんが、なんだか異常に涙もろいのです・・・
ホントに、ちょっとしたことで、すぐに感動して泣けてきてしまいます。
先週末に家族と行った映画『アバター』だって、夫と息子は、やれ「ナウシカのパクリだ」「もののけのパクリだ」「コウカクキドウタイのパクリ」だ・・と、遠くに引いた感じで観ているというのに、私だけは「感動」して、ワケもわからず泣いちゃったり・・・してたのであります(-"-)
「安い涙」「だらしない涙腺」と、いくら非難嘲笑されようとも、自分でもどうにもできないんですよね・・・


・・・そんな私ですが、美術展を観て「泣く」ということは、まず「無い」のです。
どんなに好きな絵で、遠く外国まで追いかけていって観た絵であっても、もちろん大きな感動はありますが、泣いたりすることはなかったし、これからもナイと思ってたんですよね・・・


ところが・・・
やはりどうかしてしまったのでしょうか・・・


昨日から始まっている東京国立博物館の『長谷川等伯展』で、本法寺の巨大な仏涅槃図を観た瞬間、泣きそうになりました。
自分よりも先に亡くなってしまった息子への、親・等伯の思いが迫ってきまして、それに憑依でもされるがごとく、目頭がゴーッと熱くなりました。


そして、展覧会の最後にひかえる、国宝『松林図屏風』と対座した途端、もぉー泣きそう・・・どころか、本当に涙が滲んできて、それを周囲の人々に悟られないよう急いで誤魔化すものの、こみ上げるものは押さえられず・・・


うぅ〜〜〜〜ん・・・
どうかしてます・・・・私。
『松林図屏風』は、これまでに何度も観てきてまして、初めて・・というわけでもなく・・・


でも、こんなに泣きそうになったのは初めて・・なんですよね。
やっぱり、なにか“泣き虫浮遊霊”のようなモノに憑依されてるんでしょうか?
それとも、単純にトシの所為?



・・・いや  しかし
あらためて言うまでもなく、これは水墨画の最高峰なのです。
画面の松の向こうには、確実に見知らぬ異界が広がっています。
それは観る者一人一人に、その時々に違った世界を見せ、誘ったり、拒絶したり、変幻します。
そういう凄い絵は、世界中を探しても、いくつもあるわけではありません。
私の中では、レオナルドの『モナリザ』と、カラヴァッジョの『果物籠』・・・くらいかもしれないです。




東京国立博物館のHPには、今回の展覧会を、「空前絶後ともいえる機会」と記されてますが、これは大袈裟でもなんでもなく、真実そうだと思います。

「超短期間開催」ですので、お見逃しなく!!!

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